国内グループウェア大手のサイボウズ株式会社。
忙しそうなイメージも強いITの会社でありながら、今時の「働き方」を極める会社でもあるんです。
最近ではその自由で幸福度の高い働き方が注目され、他の会社や自治体、学校などでセミナーや研修を行うことも。
CADA編集部はそんなサイボウズ本社で行われた「働き方改革」最新動向レポートを、チームワーク総研のなかむらアサミさんより伺ってきました。
そもそもなぜサイボウズが「働き方」を変革しているか?
1997年に創業したサイボウズ。創業当時は、企業Web技術が爆発的に普及しつつある時代で、その波に乗ったこともあり自社の製品もヒット。
2000年に上場し、2007年には国内グループウェア市場でトップシェアとなるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長しました。
一方で、離職率が高いことも、見逃すことのできない深刻な問題になってきました。
2005年時点での離職率は28%、なんと4人に1人が辞めていた計算になります。
「正直、当時の会社の雰囲気は最悪でした・・・」と社員さんが思わず漏らすほどです。
いくら業績が良い会社でも、長くいられない会社では続かない。
そうした危機感から、徐々に社内で働き方を変革しようという機運が高まってきたのです。
「働き方改革」よりも「働き方の多様化」を目指した
住む場所も、家庭環境などの境遇も、長所&短所も、それぞれ違う人がたくさん集まる場所だからこそ、
一つの枠組みだけでは働きづらい人も出てきてしまう。
それじゃあ副業OKにして、リモートワークやフレックスタイムを導入して、制度を整えればいいの?
と思われることも多く、実際にそういった制度改革の相談も多いそうですが、
こういった制度が整っても、働く側が皆幸せになれるわけではなく
本当に「働き方改革」をするためには“制度”、“ツール”、“風土”の三つを変えることが大事だというのです。
変革の柱「制度・ツール・風土」
“制度”だけが変わっても、リモートワークや多様な働き方をサポートできる“ツール”がなければ意味がない。
“ツール”があっても、自由な働き方をする人に対して「あいつだけ残業もしない」と白い目で見る人がたくさん・・・
“制度”はあるけど自分だけ先に帰りづらい・・・
なんていう“風土”が変わらなければ意味がない。
確かにその通りですよね。
サイボウズでは実際、以下のような取り組みを行っています。
“制度” 「100人いたら100通りの働き方」があるべき
サイボウズの人事制度の方針は「100人いれば、100通りの人事制度があってよい」との考え。
一般的な正社員からすればなんとも羨ましい、以下のような制度を整えています。
「これだけでも他の会社の方からはとても驚かれます」と、なかむらさん。
それぞれの働き方宣言
社内で共有されるプロフィールには、それぞれの働き方をアピールする項目があります。
週3日出勤、火曜日は在宅、
出張・残業はできない、野球の試合がある日は早く帰るなど・・・
かなり自由に宣言してOK!なんです。
“風土”働きやすい会社のキーワードは「職場のチーム化」
何よりも、よりよい組織の“風土”が醸成されるために、「職場のチーム化」も力を入れるべきだと言います。
どんな立場のメンバーでも発言しやすい空気、多様性を受け入れる心構えなど、
今まで「常識」とされているものを壊して変えていくことは、もしかしたら時間がかかるかもしれません。
でも、難しいけどとっても大事なこと。
サイボウズでは、社内のコミュニケーションの活性化を図るためにいくつか取り入れていることがあります。
サイボウズの部活
チーム力を向上させるため、取り入れられているものの一つが、筋トレ部やスイーツ部などの“部活”。
申請し公認されれば、会社から部費を支給されるとのこと!
不公平にならないよう、オンラインで活動内容を共有して、可視化するのがうまくいくコツだそうです。
“ツール”はkintoneを活用してリモートワークも効率化
そしてサイボウズの強みは、自社のグループウェアサービス「kintone」。
遠隔会議、連絡、共有事項もすべてkintoneに統一することで、多様なワークスタイルにも対応できています。
また、ソフト開発の知識がなくても、それぞれの会社の業務に合わせたシステムを簡単に作成、カスタマイズできるのも特徴。
社員間のつながりを活性化する社内SNSとしての機能も備えているので、コミュニケーションが円滑になることも期待できます。
まとめ
以上で見てきたように、サイボウズは社内で抱えていた「離職率の高さ」という問題を乗り越えるため、
制度・ツール・風土の面から総合的に改革を進めてきました。
行き着いたのは「働き方改革」というより、「働き方の多様化」を認めること。
様々な立場の、より多くの人が生き生きと働ける会社こそが、今後も持続する力を持っている。
いち早く気づいて行動に移したサイボウズは今、まわりの企業にも“皆が幸せになる「働き方」”の輪を広げているところです!